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すんごく気になる。
「……ねえ、美衣さ、ご主人はお仕事は?」
「あー、クビになって切られたまんま」
手で首をチョン! っと切る仕草を愛らしくする美衣に、唖然とする冴子。
その時、パスタが到着したのだった。「お熱いのでお気をつけください〜」と店員は去ってゆく。
「確か卒園式の時にそんな話をしてたよね? それからだったら……もう……」
思わず言葉がしりつぼみになる。失業手当だけで生活してるの?
心春ちゃんが一年生に上がる時にパートも辞めたって言ってたから……冴子の頭の中がスーパーコンピュータの如く計算し始める。
「んー……うち、正直言っていまお金に困ってるんだよねー」
チューっとストローでコーラを飲み干して、美衣は困った顔をしたのだった。
「冴子のところはいいよねぇ。ヨガの先生って儲かるんでしょ?」
「……うーん、私も今は紬がいるから家で動画配信ばかりしてるけどね……主人が働いてくれるから……」
「旦那さん、起業家だっけ? お金持ちだよねぇ。卒園前に引っ越したんだもんね、いいなあ。新居」
「……そうね、そこは確かに主人に感謝してる。美衣、学童は無理なの?」
心春ちゃんは学童保育に入ってないはず。
もし収入が厳しいのなら、一緒に考えてあげたい。なんとか短時間でも働かないと子供たちを食べさせることって難しいだろうから……。
「うん、なんかね」
急に美衣の声音が明るくなった。
「うちの旦那がさ、実家からお金借りてくれるって言うのよ」
「えっ!!」
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