一章 騎士の覚悟

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「起きてたんですね!体はどうですか?」 いきいきとしたうれしそうな声に、青年が小さく口を開ける。 「……いぶ、いいよ」 出たのはひどい嗄れ声だったが、それでもオリンには通じたらしい。 うれしそうに「よかった!」と笑って、ベッドのすぐ脇の椅子へ座る。 床に届かない足をパタパタと揺らして、こちらをうれしそうに見ているのが分かる。 青年は笑いながら──といっても、顔がその通り動いていたかは分からなかったが──言う。 「……イーヴェ、先生は?」 出来るだけオリンに分かりやすいように、一音一音を丁寧に出し、問うと、オリンが変わらずの明るい声で言う。 「今、診察にいってます。 すぐ戻ってくるって。 そのあいだ、私が騎士さんを看るの。 お水、飲みますか?」 少し、と小さくいうと、オリンが椅子からぴょいと降りて水を取り、口元へそれを含ませてくれる。 「──り、がとう」 少し潤った口でいうと、オリンがくすぐったそうな明るい声で「どういたしまして!」と返してくる。 青年はこちらも小さく笑いながら、オリンが再び椅子へ戻るのを見つめる。 明るくていい子だ、と思う。
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