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「起きてたんですね!体はどうですか?」
いきいきとしたうれしそうな声に、青年が小さく口を開ける。
「……いぶ、いいよ」
出たのはひどい嗄れ声だったが、それでもオリンには通じたらしい。
うれしそうに「よかった!」と笑って、ベッドのすぐ脇の椅子へ座る。
床に届かない足をパタパタと揺らして、こちらをうれしそうに見ているのが分かる。
青年は笑いながら──といっても、顔がその通り動いていたかは分からなかったが──言う。
「……イーヴェ、先生は?」
出来るだけオリンに分かりやすいように、一音一音を丁寧に出し、問うと、オリンが変わらずの明るい声で言う。
「今、診察にいってます。
すぐ戻ってくるって。
そのあいだ、私が騎士さんを看るの。
お水、飲みますか?」
少し、と小さくいうと、オリンが椅子からぴょいと降りて水を取り、口元へそれを含ませてくれる。
「──り、がとう」
少し潤った口でいうと、オリンがくすぐったそうな明るい声で「どういたしまして!」と返してくる。
青年はこちらも小さく笑いながら、オリンが再び椅子へ戻るのを見つめる。
明るくていい子だ、と思う。
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