一章 騎士の覚悟

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イーヴェも、自分の様子を見に来た幾人かの村人たちも、いつも穏やかで温かく、まだ身動きも取れない青年を見舞い、気遣ってくれる。 イーヴェ同様、皆青年の事情を知っているのだろう、青年をここまで運んでくれたという男などは、体が良くなったらうちに住み込んでもらっても構わないと申し出てくれた。 畑仕事で家を留守にする間、赤ん坊のお守りをしてもらえると助かる、これから先のことはゆっくり考えればいい、と。 その心遣いに感謝して、礼のつもりで小さく笑んで応えたが、通じたかどうか。 ──……これからの事、か。 ふとイーヴェの言った言葉を思い出す。 ここから先、もうどれだけ回復しても、以前のように動く事は出来ない。 所属していた騎士団は反逆の烙印を押され──これはまだきちんと聞かされた訳ではないが──恐らく、生きている仲間はもう誰もいない。 『──覚悟してほしいの。 騎士として生きる事を、あなたがあなたであった事を、捨てる覚悟を』 チクリと痛む胸には気づかぬ振りをして、青年はそっと首を動かす。
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