一章 騎士の覚悟

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「イーヴェの娘の、オリンです。 こないだ5才になったばっかり。 騎士さんの看病、私も手伝ったの」 とても可愛らしい、しっかりした声で子供の方──オリンが言う。 イーヴェがくすくすと笑った。 「それじゃあ小さな看護師さん。 薬棚からシシイロ草の傷薬を取って来て下さる?」 「は~い、イーヴェ先生」 今にも笑いだしそうな弾んだ返事をして、オリンがパタパタとどこかへ行く。 「……あ……」 声を発する。 何を言いたいのかは、声を出した当人にも分からなかった。 ここはどこか。 村は──騎士団の皆はどうなったのか。 村を襲った者たちは? それを察するかのように、イーヴェがそっと、青年へ向け口を開く。 「──本当に無事で良かったわ。 今は何も心配せずに体を治す事だけを考えて……と言うのが本当だけれど……。 いくつか、早急に話しておかなくてはいけない事があるの。 聞きたくないと思ったら、無視して寝てもらっていても、構わない」 心痛そうに、けれどきっぱりとした静かな口調に、青年が見えていないはずの目をイーヴェへ向ける。
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