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吉野家礼讃
宮崎牛がいくら美味しいといっても、あんな高い肉そうそう食べられるものではないし、仮に大金持ちになってもデイリーな肉うどんや肉じゃがとかにも宮崎牛を使いたいかというと、あれはそういうものではないと思う。
やはりハレの日の特別な牛肉だよね、高級和牛というのは。
私たち庶民が気軽に食べに立ち寄れる牛肉料理の店と言えば、「うまい、はやい、やすい」の三拍子、牛丼の吉野家であろう。
牛丼チェーンには吉野家の他にも「すき家」「松屋」「なか卯」などがあり、それぞれに特色もありファンも居ると思うのだが、個人的には松屋はカレー屋、なか卯はうどん屋だと思っている。純粋に牛丼店として吉野家と張れるのは、店舗数では吉野家を凌いだすき家だと思うが、個人的な好みで言えばこと牛丼というメニューに関しては吉野家が圧倒的に美味い。
白ワインをベースにした「秘伝のたれ」と、そのたれに合う肉として穀物肥育の北米産牛肉の「ショートプレート」を限定して使用するといった吉野家の美味さへのこだわり・・・的な話は公式HPに詳しく書かれているのでそちらをご覧いただきたい。
お断りしておくが私は別に吉野家の関係者でもなければマージンをいただいているわけでもないので、必要以上に吉野家を持ちあげる義理はないのである。
しかし確かにあの独特の味わいのたれと赤身と脂の加減が絶妙な肉の合わせ技は見事だと思う。やや固めに炊かれた飯との相性も抜群で、素直に「美味い!」と思うのだ。それは私が馬鹿舌だからこそかもしれないが。
ご存知の方は多いと思うが、1980年に吉野家は一度倒産している。
その原因とされるのは、コストを下げ低価格を維持するためにたれを粉末化し、肉をはじめ材料の品質を落したことだ。低価格優先で味を犠牲にしたのである。この時代の吉野家の牛丼は「はやい、やすい・・・だけ」と揶揄されるくらい、はっきりいって不味かった。
現在の吉野家はその反省に立って、味のクオリティの維持にたいへんこだわっていると思う。最近多少値上がりしたようであるが、それでも一杯400円そこそこでこれほど美味しい牛丼が食べられるのだから文句は無い。
昔、仕事で地方の催事周りをしていたころ。
クルマで移動中に腹が減るとよく吉野家に立ち寄った。
明け方近くの吉野家は、夜勤の現場仕事帰りの労働者たちの憩いの場であった。
そこには決して某掲示板の有名コピペのように殺気立った空気は無かった。
無言で牛丼を頬張る労働者たちは心の中でお互い「みんな今日も仕事ご苦労さん」と讃えあっているような温かい空気があったのだ。
時折無性に口中に吉野家の牛丼の味が蘇り、居ても立っても居られなくなることがある。このエッセイを書いている今がまさにそうだ。
なので今からひとっぱしり吉野家に行ってきます!ではまた。
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