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「もしかしてアンタも死にに来たの?」
彼女は僕に目を向けて言った。僕は首を横に振る。
「じゃあ、心霊スポット巡りとか?」
君の死体を食べに来たなど言えるはずもなく、僕は嘘を吐いて頷いた。
「人が死んだ所がそんなに楽しい?」
すると彼女は哀しそうな目を見せた。
「楽しいならいいんだけどさ。場はわきまえなよ?まあ、アンタはこんな所でふざけるタイプには見えないけど。」
じゃあどう見えているのと聞く僕に、大人しく弱そうと彼女は答えた。弱いなんて心外だと僕が眉をひそめると、彼女はぱっと顔を明るくして笑った。
「傷つくなよ~。別に良いじゃん、弱くても。それが人間だよ。」
そんな彼女の顔を見て、僕の奥深くにある何かが動いたのを感じた。よくわからない気持ちだなと思いながらも、僕の正体を知ったら彼女はどんな反応をするんだろうと考えていた。
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