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ヒトクイ
今日も誰かが死んだ。
こんな日々の繰り返しだ。
僕は「死」のにおいがわかる。
生命が尽きようとしてから尽きたその瞬間まで、鼻腔いっぱいにそれを感じることが出来る。
それも僕にとっては必要な力だ。
だって僕は人の肉しか食べられないから。
人は僕を「化け物」と呼ぶ。
ただ人の肉しか食べられないだけで、一見普通のヒトなのに、いつの間にか人間は僕を恐れるようになった。
いつか僕が公の前で人の肉を食べたのだろうか。
そんな記憶も無いけれど、気づけば僕は人目を避けて生きるようになっていた。
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