奇妙な出会い(1)

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奇妙な出会い(1)

 午前7時30分。  リビングのソファーの前に立ち、食い入るようにテレビのニュースを見ている1人の女性。  台風接近により秋雨前線が刺激され、ここ東京では、昨夜から断続的に雨が降り続いていた。明日には、東京に台風が上陸する恐れがあると、ニュースが流れ。今度の台風は雨台風と予想され、河川の氾濫の危険性があると言う。  この女性は、木村(スズ)。年齢は31歳で独身、職業は獣医師。そして、木村動物病院の院長。  鈴が30歳になった時、鈴の父親は60歳で、早々と院長の座を娘に譲り引退し、獣医師だった鈴の母親も同じく引退した。  木村動物病院には、入院患者や一時預かりの動物たちがいる。そこで昨日、河川の氾濫に備えて、1階の入院室の動物たちを2階へ避難させていた。  本日、木村動物病院は休診となり、リビングの窓から雨の状況を見ると、どんよりした天気だが、雨は止んでいる。鈴は、動物たちの様子を見に向かい玄関を開けると、玄関先に1匹の猫が倒れている、急いで処置をしないと。  しかし、その猫は、超美人、いや、超可愛い、いったいどっちなんと見とれるほどに見たこともない猫。人間で例えるなら、まるでアイドル、いや、モデル、いったいどっちなのかわからない。  その猫に魅了され、そんなことを考えている場合ではないと、鈴は急いでその猫を優しく拾い上げ。自宅に隣接する木村動物病院に急いで行き、処置室に入っていた。
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