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夢のようだった。
ずーっと頭の中に居ただけの名前も学年も知らなかった彼女が目の前に居て笑ってくれる。
「コタくん!頑張れー!」
なんて……意地でも跳んで俺はリバウンドを絶対に譲らなかった。
シュートを決めると、ただのゴール下でも手を叩いて喜んでくれる麗先輩。
嬉しくて仕方ない。
「長谷ぇ……」
練習が終わって振り返ると下野が居て、俺はただその言葉の続きを待つ。
「帰りとか別の方がいい?」
「は?」
「……まさかの麗先輩と付き合うことになったんだろ?」
なぜムッとされるのかはわからなかったが、それを聞いて俺はパッと麗先輩の姿を探した。
キャプテンと笑顔で話す姿を見つけて、あのずーっと睨んできたキャプテンも表情がかなり穏やかで納得いかない。
美音先輩がそこに話しかけに行って、振り返った麗先輩がパタパタとこっちに走ってくる。
「コタくん!トモくん!さっきは舞台袖でさっと着替えてもらったけど、更衣室案内するね!明日からも来てくれるならそこ使って!」
あぁ、こっちを見上げて笑うこの天使……本当に彼女になってくれたのか?
麗先輩の後に続いて体育館を出ると、美音先輩が慌てて走ってきた。
「麗先輩!鍵!」
「あ、ごめんね!ありがとっ!」
ペロッと舌を出す姿も……かわい過ぎる。
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