勢い

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 麗先輩に言われたままシュウ先輩と待つ。 「いいからてめぇらは帰れよ」  いつも自転車置き場で美音先輩を待っているというシュウ先輩と2年の自転車置き場に来て、俺は2年の先輩たち3人の会話をただ聞いていた。  とりあえず、1番小さいのがモト先輩で、1番大きいのがタケ先輩。で、眠そうに何度もあくびをして自転車のカゴにかばんを突っ込んだのがシュウ先輩。  明日にはわからなくなっている気がしないでもない。  俺がなかなか言葉を発せられない理由の1つが顔と名前が一致しなくて、誰だかわからなくなるからだから。  まぁ、いつも隣には下野が居て口を開かなくても大丈夫だったからってのが1番大きいんだろうけど。 「てか、コタ!お前凄いな!」  自転車に跨がったモト先輩に見上げられて首を傾げる。 「麗先輩見てすぐ告ったじゃん!」  あぁ、そっち。 「一目惚れってやつ?」  何か期待を込めた目で見られているが、どう答えたらいいかがわからない。  去年からずっと好きだったが……確かに、姿を見た瞬間に全てを持っていかれた気がしたくらいのあれは“一目惚れ”だから。
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