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朝、地元の駅で自転車を停めてホームに行くと、下野は既にホームに立っていた。
「はよ」
声を掛けると、下野はこっちをちょっと見上げてすぐにまた目の前の線路に視線を戻す。
何か変だとはわかるのに見当も付かない俺はただ黙ってその横に立っていた。
「……麗先輩はいいのかよ」
「あ、2駅あっちだから同じ電車に乗ってくるかもな」
前を見たまま言われて答えたが、下野は特に反応しない。
と思っていたら、
「あーっ!!もう、何なんだよ!お前っ!!」
急に怒ったようにこっちを見られて戸惑う。
「急に告るし!相談とかねぇのか!?しかも、あんな美人な先輩が彼女だと!?意味わっかんねぇ!!何でフラれねぇんだよ!!知り合いか!?ずっと秘かに温めてた愛を昨日ぶちまけてめでたく結ばれたのか!?」
早口でどんどん言われて俺はただ瞬きすることしかできない。
「おい!何だよ!!何か言えよっ!!」
「あ……知り合いじゃない」
「じゃあ、何で急に告ってOKなんだよ!!」
両腕をガクガク揺さぶられて手で制すると、俺は小さく息を吐く。
「……でも、ずっと好きだった」
呟くと、
「はぁ〜〜〜っ!?」
下野はすっ飛んだ声をあげて眉を潜めた。
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