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納得いかないとブチブチ言われているうちに電車がホームに着いて、乗り込んでからも下野はまだ不貞腐れていた。
だが、2駅先の麗先輩が乗ってくるはずの駅に着いても先輩の姿がないと、下野は「夢だったんじゃねぇの?」と笑い出した。
電車の本数も限られているし、そんな訳ない。と辺りを探すが先輩は居なくて、学校に近い駅で降りてみてもやっぱり姿はない。
「……マジで付き合ってんの?」
学校まで歩きながら聞かれて、俺は答えることもできずに辺りを見回した。
小さいから見えていないだけかもしれないと思いながら……ただ、向こうからは俺は見えるんじゃないのか?というのは考えないようにして。
下駄箱が見えてきてため息を吐くと、
「あ!コタ!トモも!はよー!今日も来るかー?」
チャラ男……えっと……。
考えていると、
「リョウ先輩!おはようございます!行きますよ!もう入るつもりなんで!バスケ部!」
下野が挨拶をして思い出す。
あぁ、副キャプテンだ。
コートですぐパスできるようにと言われた名前は完全に飛んでいた。
そして、その隣にはあのメガネの不機嫌そうなキャプテンも居て、とりあえず頭を下げる。
「佑樹ー!顔怖ぇって!ごめんなー!こいつ、昨日失恋し……」
キャプテンに肩を組んで笑ったリョウ先輩はすぐに腕を振り払われて後頭部を叩かれた。
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