一目惚れ

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「高校バスケ見てテンション上げよーぜ!」  下野に誘われても面倒だから頷かなかったのに、朝、迎えに来た下野に引きずられてやってきた会場校。  下野のように姉も居ない俺は高校なんて未知の世界で、ただその雰囲気にのまれる。  何もかもが大きく余裕があるように見えるし、すれ違う全ての人が大人に見える。  高1なんて1歳違うだけなのに。  そんな感じで下野に腕を引っ張られて連れてこられた試合。そこで見つけたのが彼女だった。  あのベンチに居るってことはあの啓南高校のマネージャーで、俺よりは年上の高校生。 「あのスリーすっげぇなぁ!!高校入ってもバスケは続けたいけど、あのレベルは付いていけっかなぁ?」  隣の下野がうるさいが、試合なんてそっちのけでシュートが入ると手を叩いて喜び、隣に居る部員と嬉しそうに話している彼女の姿をただ見つめた。  あの視界に入りたい。  声をちゃんと聞いてみたい。  あの人と並んで歩きたい!! 「勉強教えて欲しい」 「はぁ!?」  呟くと、下野がすっ飛んだ声をあげる。 「絶対、啓南に行きたい!」  その肩を掴んで見下ろすと、下野は目を見開いてただ言葉を失っていた。
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