24人が本棚に入れています
本棚に追加
「高校バスケ見てテンション上げよーぜ!」
下野に誘われても面倒だから頷かなかったのに、朝、迎えに来た下野に引きずられてやってきた会場校。
下野のように姉も居ない俺は高校なんて未知の世界で、ただその雰囲気にのまれる。
何もかもが大きく余裕があるように見えるし、すれ違う全ての人が大人に見える。
高1なんて1歳違うだけなのに。
そんな感じで下野に腕を引っ張られて連れてこられた試合。そこで見つけたのが彼女だった。
あのベンチに居るってことはあの啓南高校のマネージャーで、俺よりは年上の高校生。
「あのスリーすっげぇなぁ!!高校入ってもバスケは続けたいけど、あのレベルは付いていけっかなぁ?」
隣の下野がうるさいが、試合なんてそっちのけでシュートが入ると手を叩いて喜び、隣に居る部員と嬉しそうに話している彼女の姿をただ見つめた。
あの視界に入りたい。
声をちゃんと聞いてみたい。
あの人と並んで歩きたい!!
「勉強教えて欲しい」
「はぁ!?」
呟くと、下野がすっ飛んだ声をあげる。
「絶対、啓南に行きたい!」
その肩を掴んで見下ろすと、下野は目を見開いてただ言葉を失っていた。
最初のコメントを投稿しよう!