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これが単なる思い過ごしなのかを確かめようと、興信所に孝之の浮気調査を依頼した。
その結果、私は認めたくなかった事実を突き付けられてしまった。
二人の裏切りに気付きもせず、これまで私は幸せな日々を過ごしていると思っていた。
……バカみたい。
悪夢の中で唇を重ねる二人、ベッドの上で戯れる姿を思い返すと、憎しみでこの手も震えてくる。
孝之は私の夫で、佳奈江は私の親友だ。
夜、ベッドの中で孝之の手が迫ってくると、無数の足を持つ虫が這っているようなザワザワとした感触が触れられた肌から全身に走り、吐き気すら覚える。
そのたびに私は、体の不調を理由に何度もそれを払いのけた。
そんな汚らわしい手で触れられたくない。
ほかの女を抱いた手で私に触れようとするなんて、孝之の神経のなさに怒りが湧いてくる。
しかも、その相手は……。
「佳奈江と浮気してるでしょ?」
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