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悪夢の誕生日(1)
今日は私の誕生日。
夫の孝之は、これから仕事で一泊の出張。
明日、出張から帰ってきたら、お祝いをしようと約束してくれた孝之に、出掛けのキスをする。
「じゃ、いってくるよ」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
ドアの向こうに消えていく背中を見送る。
仕事なのだから、しかたがない。
明日になれば、孝之は帰ってくる。
結婚してから二度目の誕生日をどう過ごそうかと考えながら、家事をこなしていく。
昼下がりのお茶を静かに楽しんでいた私は、佳奈江に連絡をとった。
孝之と社内恋愛で結婚した私は、それを機に退社したが、佳奈江とは同期で同じ部署だった。
互いに同じ価値観を持つ私達は、単なる同僚を越えて友人となり、私にとって佳奈江は特別な存在になっていった。
なんでも相談できて心から気の許せる、今ではかけがえのない親友。
その佳奈江から、すぐに返事がきた。
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