リバーシ

リスタート

「…ありがとう。やっぱり嬉しいね。お揃いの指輪…」

思った事はすぐに言葉にしようよ。
心の中に留めておかずに。
それが嬉しい言葉なら尚更に。
長い時間一緒に居ると素直に言葉にするのは少し恥ずかしくて勇気がいる事かもしれない。
だけど…伝えないと伝わらない。
思いは…言葉に変えないと伝わらない。

「…そうか。俺も…何だか新鮮な気分だしいいなって思うよ。指輪…」

指輪は優しい束縛だと思う。
愛情を形にしてお互いを結びつけた幸せの束縛…。

二人で指を絡めて、二つの指輪が重なった。

「リスタートだね」

スタートは一度きりじゃない。
人生には何度だってスタートがある。自分自身が終わりにしない限り、終わりだと決めつけてしまわない限り何度でも歩き出せる。

穏やかな風が吹く春の陽射しに照らされて、重なり合った指輪は輝いて見えた。
嘘のない穏やかな微笑みと、繋がる二人の気持ちが心にも輝きを与える。

リスタート。
またここから…始めよう。