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咲との電話を終えた後、私はまた泣いていた。
何が正しくて、何が間違っているかだなんてもう分からない。
分かっているのは涙と一緒に零れ落ちていく正樹への気持ちが、冷たい雨みたいに私の心を冷やしていってしまう事…。
(嘘をつくくらいならその嘘をつき通して欲しかった…)
正樹が変わってしまったように、私だって変わっていく。
いつまでも同じ形を留めておきたくても、それが上手くいかないのが現実…。
(私が変わってしまうのは正樹のせいなんだからね…)
正樹も同じ気持ちだったんだろうか?
私や環境を言い訳にして欲望に溺れていってしまったんだ。
近くに居るのに遠い存在
遠くにいるのに近い存在
物理的な距離と心の距離が比例しない。
今の私達は…「近くにいるのに遠い存在」―――。
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