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沢山やりとりして少しずつ彼を知っていった。
彼が好きな事、好きなもの、仕事の事…でも私が共有するのは彼に聞かれた事だけで私の方から自分について話をする事は無かった。
彼は賢い人なのか、距離をわきまえている人なのか無理に深く入り込んでこようとしたり必要以上に詮索したりはしてこなかった。
【今日は色々と話せて良かったよ。何か付き合わせちゃってごめん。でも明日もたぶん連絡する。俺に合わせなくてもいいから、マコちゃんは好きな様にしててね。】
ああ、この人は自分を優先しないで相手の事をちゃんと考えてくれる人なんだ。
それだけで私の心は浮ついた。
単純に、だけど複雑に。
【私も沢山話せて良かった。ありがとう。連絡待ってるね。】
自然と出てきた「待ってるね」の一言に忘れていた甘酸っぱい感情が乗せられている。
成熟したはずの心に再び宿った未完成な感情…
(そっか…正樹もきっとこうやって思い出していったんだ…そう…なんだよね?)
辿っていく…
正樹が感じていたであろう感情の道筋…。
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