届かぬ思い

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風呂のお湯はしっかりと温められていた。 (亜美は俺の帰りを待って冷めたお湯をちゃんと温めてくれていたのか…) お湯の温かさが沁みていく… このお湯の温もりみたいにいつも温めてくれていたのは… (亜美…) 罵倒された方が良かったのかもしれない。 突き放された方が良かったのかもしれない。 今更になって気付いたのは、心の距離感だった。 亜美にはもう俺に対する怒りや悲しみの感情すら無くて、連絡先を消した時にただ「分かったよ」としか言わなかったのだ。 感じていたのは…「失望」―ただそれだけだったから。
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