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(そう…だよな… 俺がマイカに浮気心を抱いて風俗なんかにハマった事が分かった時点で亜美はあんなにも傷ついたんだ。それでもマイカへの気持ちを断ち切れずに連絡先を残してしまった…それを消したからといって全てが消えてしまう訳では無いんだ…)
拒絶されて初めて自分の身勝手さに気付くだなんて間抜けな話だ。
俺が自分の気持ちに答えを出したって、それが伝わらなければ何の意味も無い。
(でも…どうすればそれが伝わる?)
今の俺には亜美への誠意を伝える術が無い。無いんだ…。
アルコールが入って火照る体と頭で思い巡らせてもなかなか答えは出なかった。
風呂という、ある意味生活空間から切り離された場所で物思いにふけると自分の存在が、今のこの状況が滑稽に思えて仕方がなかった。
届かない思いがまるで冷めていくお湯みたいだ。
いつまでもお湯に浸かっていたせいでのぼせてしまった体がだるい。
自分自身で蒔いた種とはいえ、どうにかしようと足掻く事すら許されないのだろうか…。
「分からないよ…。」
漏れた声は届かない。
掠れて、小さく消えるだけ…。
俺の思いも届かない。
上手く形に出来なくて―――。
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