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夜の出来事がまるで何も無かったかのように正樹はいつも通りに家を出た。ただいつもと違っていたのは何となくだけど「行ってきます」の声に元気が無いように感じた事…。
【マコちゃん、今日も一日お疲れ様。夜遅くにごめん。でも伝えておきたい事があって。俺さ、マコちゃんと会ってみたいなって気持ちがどんどん強くなってる。本当はあまり焦りたくは無かったんだけど…ね。もちろんマコちゃんの気持ちもあるからすぐにとか無理強いはしない。ただ、伝えたかっただけなんだ。急にごめんね。】
確認せずにいたメッセージ…
読むだけで胸が苦しくなった。
会ってみたい
その言葉だけが私の心を刺激する。
心地好く喉を刺激する炭酸みたいにジワジワと沁み渡りながら…。
(望んでいたんだもの…この感情を…だから向き合わなきゃ…)
【タツヤ君おはよう。昨日は返信出来なくてごめんね。夜はあまり連絡出来なくて…。タツヤ君の気持ち、凄く嬉しいです。私も…タツヤ君と会ってみたいなって思う。】
もう…止められない。
彼となら会いたい。
彼だから会いたい…。
送信ボタンを押す指が震えた。
初めてメッセージを開いたあの日みたいに。
今日、きっと彼との関係が動き出す。
ここからが本当の始まりで、時計の針が動き出すかのように心の中でカウントダウンの音がした―――。
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