遠いけど近い人

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遠いけど近い人

その日、タツヤ君は休みだったのかメッセージのやり取りが途切れる事は無かった。 会う日は…私が提案した日に決まった。 (2週間後の水曜日…) 現実と重なった非現実が目の前でチラついて離れなくなった。 今はタツヤ君が私の現実の、日常の中に確かに在る存在…。 【私、〇〇市にはあまり出掛けた事が無いの。だからちょっと緊張する…】 〇〇市は私が住む町から30分程離れた場所にある県内で一番の大都市だった。結婚、出産してからは家族以外の誰かと都市部に行く事なんて無かったし、一人で近場以外へ行く事は何年振りなのだろう… 【そうなの?俺も〇〇市からは少し離れた場所に住んでるけど〇〇市にはよく遊びに行くんだ。だから…任せてよ。何処に行くか決めておくから】 最後のデートはいつの日の事だっただろう? 何処へ行く?何をしよう?何を食べよう? ただそれを考えるだけで胸が踊るあの日は…。 言葉が彩りを持つ瞬間が再び来るとは思ってもみなかった。 機械的な文字も、見慣れた画面も思いを馳せればいつまでも眺めていたくなる色とりどりの世界だ。
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