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「約束の日」を待ちながら過ごす時間はあっという間に過ぎてしまうもの。歳を重ねるごとに早く感じてしまうようになっていく一日一日が更に早く感じた。
(もう、後一週間なんだ…)
家事の合間をぬって上手くやり取りが出来るようになり、出会ったばかりの頃に比べると不思議なくらい自然に二人の時間を共有していた。
【俺達ってお互いの顔、知らないんだよな。会うってなるとさすがに知らない訳にはいかないからお互いの写メを交換しよう。】
タツヤ君からの提案に戸惑う私。
(そう…だよね。お互いの顔を知らない訳にはいかない)
自分の顔に自信が持てるくらい美人なら良かったのに。
心からそう思った。
人は見た目じゃないとか、外見ばかり気にしても仕方がないと言う人は沢山いるけれど、そんなのは詭弁だし綺麗事でしかないって思う。
人は目で恋もするし目で愛する事だってある。
何かを選ぶ時に見栄えがいい物を無意識のうちに選ぶ様に、人を選ぶ時だって見た目を重視するものなんだよね。
(ここで断られたらお笑い種だけど、加工はせずに本当の私の姿を見て貰わなくちゃ…)
現代の加工アプリはプリクラやフォトショ並に自分をよく見せる事が出来る。だけど私はこれ以上自分もタツヤ君も欺きたくはなくて無加工のままにカメラ撮影をした。
画面越しに微笑む私は綺麗なんかじゃないけれど、今はそんな自分の姿が嫌いではないって思える私がいる。
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