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初雪の夜
「いよいよ本格的に降り出した」
夕方遅く、トーマスは真っ白になって帰ってきました。
「ちょうどよかった、クネーデルが焼けたとこだよ!」
暖炉にかけられたヤカンが白い湯気をあげ、えんどう豆のスープの匂いが漂っていました。
トーマスは心からホッとしてコートを脱ぎ、雪だるまのように積もった白い雪を払い落としました。
ようやく指先まで温かな血が巡りだした頃、小さな家の扉を叩く音が聞こえます。
「こんな雪の中、一体誰だい?」
トーマスはドアを閉めたまま声をかけました。
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