木こりのシュバルツ一家

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木こりのシュバルツ一家

 フェルゼンハントの村にこの冬一番の強い風が吹くと、ちらちらと初雪が舞い始めました。 「本格的に降り出す前に、もう少し薪を切り出しておこう」 トーマス・シュバルツは、冷たい風を吹き下ろす山を見上げて白い息を吐きました。 「オオカミに気をつけて」 トーマスの妻、エマはそう声をかけます。 10歳のハンスと3歳の妹クララも戸口から飛び出してきてお父さんに手を振ります。  森のそばのちっぽけな家に彼らは住んでいました。 慎ましいながらも小さな畑と雌牛小屋があり、ありがたいことに暮らしはなんとかなっていました。
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