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しかし少し冷静に考えると、僕が祝われる理由が無い。
昼間の先輩といいナスコさんといい、この幽霊といい、流行っているのだろうか、人の誕生日を間違えることが。
なんにせよ、僕が祝われる謂れは無いし、幽霊に祟られるような覚えも無い。
――間違えているんじゃないだろうか、この幽霊。
何だかそんな気がする。
まだこの部屋に引っ越してから1ヶ月ではあるし、この幽霊は前の家主を目掛けて現れたのではないだろうか。つまり、先輩を祝うために。
そういえば先輩も誕生日がどうのこうの言っていたわけで、そこに何らかの関係性があるような気がしてならない。例えば同棲していた恋人が亡くなってしまって、自分の存在をアピールするために化けて出た、とか。
――なんだか、そんな気がする。
というより、僕とは関係が無いものと思いたい。
僕はまだ誕生日ではないし、幽霊になるような方に覚えもない。
そう思いたいので、そんな気がすることにした。
明日、心当たりがないか、先輩に聞いてみよう。
もし心当たりがあるのであれば、後処理は先輩に放り投げればいいし、それでいい。
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