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「おめでとう」
「……ありがとうございます」
お祝いされるがままに、僕はお礼を返した。
でもよく考えてみれば何故お祝いされたのか、さっぱりわからなかったので、僕は首をかしげる。
「あの、どうして僕は祝われたのでしょうか?」
少しだけ間を空けて、僕は先輩に尋ねた。
「あぁ、君でもなかったか…… じゃあアレだ、気にするな」
わりと無茶を言われた。気にするなと言われても、突然祝われたらどうあっても気になってしまう。もしかして、僕が知らないうちに昇格通達でも出ていたのだろうか。
「いや気になりますよ…… 僕、昇進でもしてましたか? であればアレですね。今後、僕には敬語を使ってもらっても構いませんよ」
僕が彼にそう告げると、口角を少しも上げることなく、先輩は返してくる。
「まぁ反論するとパワハラになりかねないワードが頭をよぎったので止めておくが、残念だけどそんな感じのやつじゃない」
「それは残念です。でも理由なんて無くても、敬語で構いませんよ」
「いや、実は誰か誕生日が近しい人が周りにいたような気がしてたんだけど……」
僕の返しを無視して、先輩は続ける。
「誰かは忘れてしまったので、会った人全員におめでとうと言うことにしたんだ」
わりと滅茶苦茶だった。
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