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「お店は滅茶苦茶になったし、今だって監視カメラの映像がニュースで流れてるじゃない!」
ランに言われて正面のテレビに目を遣る。確かにテレビ画面には昨日のハンバーガーショップの店内の様子が白黒の映像で流れており、それをキャスターの女の人が解説をしていた。
「な? キャップを着けといて良かったろ」
俺は言ってやった。
「アンタって奴わッ!」
ランが俺の首を絞めてくる! 苦しい! マジで怒ってやがる!
「取り込み中に悪いけどさあ」
ルーが口を開いた。
「何よ?」
ランが返す。
「このゲーム機、僕のじゃないかも」
ルーが言った。
何を言うッ! ゲーム機の種類も色も一緒だろ! 理由を訊ねると、
「知らないゲームのデータが大量に入ってるんだ。セーブデータもたくさんある」
そう返すルーに俺は、
「他のゲーム機からデータを移したんだろ?」
「無理だよ。全部、ネットショップで課金してダウンロードしてある。そのデータ内にセーブデータが入ってるから、他のゲーム機にデータを移せないようになっているんだ。しかもポルノの動画もたくさん入ってるし」
反論する前にルーが続ける。
「ゲーム機のアカウント情報を確認したら、1年以上も情報が更新されてないんだ。分かるかい? 僕がゲーム機をプレゼントされたのは先月の誕生日だよ」
ケイシーが既にルーのゲーム機を売り払っていたとしたら。これがルーのゲーム機ではなく、ケイシーが元々所有していたゲーム機だとしたら─ヤバイ。
「マックス~。ママから電話よ」
ルーの母さんがリビングにやって来た。おばさんから子機を受け取る。
「もしも─」
「マックス! アンタ達何をしたのッ! 警察が来たわよ! 発砲事件を起こしたケイシーって子が、アンタ達から自分のゲーム機を盗まれたって言っているらしいわッ! アンタ達に窃盗の疑いがあるって! 店の中で爆竹を鳴らしたのもアンタ達? 答えなさいッ! ランとルーの家にも警察が向かったわよッ!」
電話越しの母さんの怒鳴り声を聴いていると、ルーの家のインターホンが鳴った。
「ルー、裏口ってどこにある?」
俺は訊ねた。
「キッチンの傍にあるけど、それが─」
ルーの返事を聞くと、俺は直ぐ様裏口へと走り出した。
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