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2.マックスのペイ:ルー・レイン
店内に入るとカウンターに列が幾つも出来ていた。店の中は客が多いけど、1ヶ所だけ空席が目立つ場所がある。ケイシー達が座っている席とその周辺だ。誰も厄介者達と関わりたくはないらしい。僕だってそうさ。本当は泣き付いて話を聞いてもらうだけのつもりが、こんなことになってしまうなんて。マックスはいつだって無鉄砲だ。幸いなのは、お目付け役にランがいることだけだよ。
ケイシー達に近づくと、心臓が激しく動いて気分が悪くなってきた。テーブル席の上座にケイシーが座っている。よく見ると彼は僕のゲーム機で遊んでるじゃないか! 下座の席に2人組の少年の後ろ姿が見えた。声を聞く限りスコット・ハントとジョニー・ベンソンだろう。
「おい、見ろよッ! Lou the Loser《負け犬のルー》だ! アイツ、ダチ連れてこっちに来んぞッ!」
ケイシーが叫んだ。透かさずスコットとジョニーも笑いながら大声で僕を罵ってきた。何が Lou the Loser《負け犬のルー》だ! くだらない駄洒落みたいな名前で僕を馬鹿にしやがって。くそっ! 僕の嫌いな呼び名でマックスは笑い堪えてる。一方のランは訝しそうな顔でケイシー達を見詰めていた。駄洒落ぐらいで何が面白いんだろうって顔だ。僕が馬鹿にされて怒ってるわけじゃないらしい。
僕達3人がケイシー達の座る席まで近付くと、マックスが口を開く。
「君、ケイシー・ルーサーだよな?」
すると、ケイシー達は互いの顔を見遣ってニヤニヤと笑った。
「そうだぜ。何のようだよ?」
嫌な笑顔でケイシーはマックスに訊ね返す。
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