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「おい、ルー! ビビり過ぎてションベン漏らすなよッ!」
髑髏のTシャツを着たスコットが言ってきた。
「そうだぜッ! この前、ケイシーがハジキを見せたら漏らしやがったんだよなあッ!」
鼻ピアスが目立つジョニーも焚き付けるように言ってくる。公園の片隅でゲーム機をプレイしていたあの日。ケイシー達がやって来て、僕のゲーム機をよこすように言ってきた。誕生日に買ってもらった大事なプレゼントだ。ボコボコにされても渡す気はなかったけど、拳銃を出してくるなんて。恐怖した僕はオシッコを漏らしてしまい、言う通りにゲーム機を渡してしまった。
「ルーからゲーム機を取っただろ。謝るから返してくれないか?」
マックスは堂々とケイシーに言った。僕はぶるぶる震えるしかない。ケイシーは笑いながら、
「あんッ? あれはルーがくれたんだよ。 そうだよなあッ! ルーッ!」
ケイシーが怒鳴るように訊ねてきた。
痛ああぁッ!
僕が、その通りだよ、と答えようとするとマックスが僕の足を思い切り踏みつける。
「いや、俺達はゲーム機を取られたってルーから聞いたんだよ。だから、俺達3人で頭を下げに来たんだ。頼むよ」
マックスが口にするとケイシーの表情から笑顔が消えていく。早く逃げ出したい。マックスは続ける。
「まあ、タダでとは言わねえよ。これを渡す」
マックスは手に持っているビッグ・ナット・ハンバーガーの紙袋から、3人分のハンバーガーセットを取り出して、ケイシー達にそれぞれ配っていく。ケイシー、スコット、ジョニーは大笑いした。当然だ。金目のものではなく、少し高価なハンバーガーセットで手を打とうとしてるんだから。
「おいおい! コイツ等、正気かよ?」
ケイシーが笑いながら言った。スコットも、
「いやあ~健気だねえ! ガキらしい発想だぜ! マジでえ!」
透かさずジョニーも、
「こんなヤツ等初めてだ! ミスター・ビーンでも、もう少しマシなものを出すぜ!」
笑う3人にマックスが言う。
「噂で聞いたんだよ。アンタ等、ビッグ・ナット・ハンバーガーのハンバーガーやポテトが好きなんだろ。これで勘弁してくれよ。俺達が3人で金を出し合って買ったんだ」
何と馬鹿馬鹿しい提案だろう! それなら、僕達が出し合ったお金をそのまま渡してしまえばいいのに! すると、ケイシーは、
「お前等、気に入ったよ。だけど、ルーのゲーム機を返して欲しいんなら、こんなもんじゃ足りねえだろ。これから毎月500ドルを上納しな」
「ちょっと! そんなお金、小学4年生が払えるわけがないじゃない!」
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