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「おい! お前の左腕に着けてるやつは何だ?」
ケイシーに言われて腕を捲るマックス。
「おいッ! コイツ、左腕に2つも時計を着けてやがるよッ! イタリア人でもこんなことするヤツいねえよなあ! おいッ!」
ケイシーが大笑いして言うが、スコットとジョニーは引きつった笑顔で返すことしか出来ない。拳銃を向けられたからだろう。ケイシーが、
「その腕時計2つもこっちによこせ!」
「だけど、これは2つとも中国製の安物だよ」
と、マックスが渡すのを渋る。
「テメェ」
ケイシーが再び拳銃をテーブルの下から出した。
「分かったから、銃を下ろしてくれ」
マックスは外した2つの腕時計をゆっくりとケイシーに渡す。
「なあ、ケイシー。その2つ中国製の安もんだろ。2つ合わせても100ドルもしねえよ」
ジョニーが言った。ケイシーは、
「なあに。そこら辺のガキに無理矢理売り付けりゃいいんだよ。香港で売られてる高級腕時計だってなあ。またハジキを出したら財布ごと出して─」
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ─。
渡した腕時計の片方から電子音が鳴り響いた。
何だろ─。
バン! ババンッ! バンッ!
僕の被ってるキャップと口元に赤い液体が飛んできた。
撃たれた。
死んだ。
いや、違う!
目の前のテーブルでビッグ・ナット・ハンバーガーのセットが火花を上げて爆発しまくってる。
「目があッ! 目があぁ~ッ!」
ケイシーが両手で目を押さえてる。飛んできたケチャップとマスタードが目に入ったようだ。ジョニーは頭を抱えて蹲り、ケチャップまみれのスコットは白目を向いて泡を吹いている。気絶してる! まさか、死んでないよね?
すると、マックスはテーブルの上にあるゲーム機や財布、腕時計を全て抱えて走り出した。
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