2.マックスのペイ:ルー・レイン

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「走れッ! ラン! ルー!」  マックスが叫ぶ。僕も耳を塞いでいるランの手を掴んで、店の入り口に向かって走りだした。店内は大騒ぎだ。皆して外に逃げ出している。僕達はそんな彼等に押し出されるように外に出ると一目散に、自分達の自転車を停めているアパート前に走って行った。マックスは取り返したゲーム機、財布、腕時計を自転車の前カゴに入れる。  あれ? ない!  僕の自転車がない!  ランとマックスは自分達の自転車に乗って走り出そうとする。 「ちょっと待って! 僕の自転車がないんだ!」  2人に言った。 「何言ってる! 落ち着いて探せ!」  マックスが怒鳴る。急いで周りを見渡した。赤い自転車、赤い自転車─やっぱりない! 「じゃあ盗まれたんだろ!」  マックスが言った。 「僕、僕、どうしよう! どうしよう!─」 「馬鹿ッ! 俺の後ろに乗れッ!」  言われた通りに、慌ててマックスの自転車の後ろに乗った。ランは先に自転車で走り去って行く。  ピー、ピー、ピー─。  また腕時計から電子音が鳴る。今度は違うほうからだ。  その瞬間、マクドネル・ハンバーガーショップの前にパトカーが3台もやって来て、警察官がたくさん出て来た。  一体、何なんだよお! 夢じゃないのかあ?  泣きそうになっていると、突然、銃声が鳴った。  後ろを見るとケイシーが警官達に向かって発砲している!  警官達も発砲して応戦していた。  もう無茶苦茶だった。  マックスが自転車を漕ぎ始めると、こちらに向かって誰かが走って来るのが見えた。  ジョニーだ。がに股でこちらに向かって走って来る! その右手にはジャックナイフが握られている! 「急いで漕いでよ!」 「馬鹿野郎ッ! 重いんだよッ! お前こそ蹴って押せよッ!」  マックスに言い返されて、地面を蹴って自転車の勢いを付けようとする。この間に、がに股で走って来るジョニーが距離を詰めて来る。よく見ると、ジョニーの股がビショビショに濡れていた。風が吹いた瞬間、僕は理解した。ションベンじゃない! ジョニーはウンコを漏らしている! 何度も地面を蹴っていると、ジョニーが後ろから来た警官に取り押さえられた。 「動くな糞野郎!」  喚くジョニーに警官が怒鳴った。  マックスの自転車に勢いが付いてきた。マクドネル・ハンバーガーショップからどんどんと遠ざかって行く。  助かった。  気が付くと、僕達は2マイル先の見知らぬ空き地まで逃げていた。
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