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「そうだよ。あのオッサンに事情を話したら俺の作戦に喜んで協力してくれた。手製の爆竹と癇癪玉をタダでくれたんだ。ついでに導火線も」
俺の話を聴くとランが不快そうな表情になる。ランはアメリカの敵は戦争でぶっ潰せとか、悪党は全員死刑とか言っているハートマンを嫌っていた。そのまま話を続ける。
「それでケイシー達がビッグ・ナット・ハンバーガーのセットが好きって聞いてたから、作戦当日の午後3時前に買いに言ったんだ。そして、3人分のハンバーガーセットに癇癪玉や爆竹なんかを大量に仕込んどいた」
ランが、
「だからハンバーガーセットが爆発したのね。けど、どうやって爆発したのよ?」
「導火線の長さを調節して火を着けたんだ。導火線は勿論、爆竹、癇癪玉は全部、水に濡れても大丈夫なようにハートマンが細工していた。だから爆発したんだよ。導火線もゆっくりと燃えるようにしてたから、音もしないし爆発までに時間があった。その間に3人にはハンバーガーセットに手を付けてほしくなかった。だからランとケイシーの口喧嘩を止めなかったんだ。要は時間稼ぎさ。後は爆発したらケイシーが怯んだ隙にゲーム機を取り返して外に出て逃げるだけ。他のことは警察に任せるつもりだった」
「待って。警察を呼んだのもマックス?」
「正確にはハートマンだ。ケイシー達を足止めしてほしかったんだ。午後3時半を越えたら、公衆電話で警察に通報してくれって頼んでた」
訊ねてきたランに答えるとルーが、
「腕時計を2つ着けていたのは火薬が爆発する時間と警察が到着する時間を確認するためだったの? それでタイマーを設定していた?」
「そう。 因みに3人でキャップを着けたのは、監視カメラに写り込んでも顔がはっきりと見えないからだ。爆発したハンバーガーセットの破片とかが目に入らないようにもしたかった」
胸を張って話したが、2人は不満そうな表情で見詰めてきた。作戦成功だろ、と笑顔で言うと、
「何が成功よ! 今朝の新聞を見た? 撃ち合いで警官1人とケイシーが怪我をしたのよ!」
「でも誰も死んでない」
怒ってきたランに言い訳をしてみる。
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