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白いネコちゃんのお弁当箱
「あるじ、はんかちとティッシュは持ちましたか?」
「だから、子供じゃないし、ちょっと小野先生のところに行くだけだし」
「親しき仲にも礼儀あり。お伺いするのですから、身だしなみは気をつけなければ。ね? そうそう、最後はこれをどうぞ」
そう言って、トウロウは可愛いキティちゃんの絵柄が付いた包みを差し出した。
「なにこれ?」
「お弁当でございます」
「だってオレ、小野先生のところに行くだけだよ?」
「わかっております。しかしあるじが行った先で空腹になっては困りますし」
にっこり笑ったトウロウは、キティちゃんの包みをグッと差し出した。
「じゃあ、うん。いってきます」
オレは渋々、包みを受け取る。
だけど本当は、すごく嬉しかった。
お弁当って、憧れだったから。
送迎は公用車が使えるから、オレは座席に座ったところで、コソコソとキティちゃんの包みを解いた。
中にはトウロウの得意な卵焼きと、タコさんウインナー、それに冷食のコロッケにブロッコリーとミニトマトが入っていて、ごはんの上には桜でんぶでハートマークが描かれていた。
慌てて蓋を閉めたけど、持ってる包みの中にピンクのハートがあると思うと、なんだか気恥ずかしくなってしまう。
これを、先生の前で食べるの、恥ずかしいなぁって思うけど。
トウロウの卵焼きはそりゃあ絶品だから、食べないって選択肢は無い。
オレはちょっとだけ運転席を伺うと、運転手は真面目に正面を見ている。
バックミラーを見ても、視線が合うことも無い。
これなら、いける……よな?
オレは再びキティちゃんの包みを開いた。
終わり。
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オトモダチのmanaサン作
「閻魔大王に、オレはなる!(仮)地獄に堕ちたオレが責め苦を乗り越え閻魔大王へと成長する感動の物語だと?」
に送ったSS。
変幻自在にエモい小説を量産するmanaサンは、擬人化短編でヒトを泣かせるコトが出来るヒトです☆
本編では、もっともっとトウロウちゃんがカワイイので、是非どうぞ!
アルファポリス:https://www.alphapolis.co.jp/novel/487092271/958546774
Pixiv:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14555305
fujossy:https://fujossy.jp/books/20021?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign
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