余計な火種

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「うわっ、圭二さんだってぇ! 人の旦那に馴れ馴れしいぃ」 「あはは。いいよ、いいよ。私もハマコさん見倣って内側から元気になりたいわ」 「そう? じゃあトメさん。今度シニアホストクラブ行かない?」 「なにそれ」    シニアホストクラブとは、1ヶ月ほど前に隣町の雑居ビルの2階にオープンした、60代以上のシニアが出迎えてくれる店だ。ハマコは会員制のカードを持っている。 「年寄り向けだから、入るのにも年齢制限があるのよ? 詐欺とかで引っかからないように、店員も客も60歳以上限定。金額もリーズナブルで上限が決まってる。客席にセンサーがついててね、マスク外して喋るとテーブルに設置してある赤灯が回り出すの。3回まわったらペナルティで会計時にプラス1000円。5回になったらプラス3000円。安心して来られるようにって店側が配慮してくれてるの。  でね、1人いい男がいるの〜。うふふ。私がおねだりすると、何でも買ってくれるのよッ。来週会うことになっててね。  クラブに行ったらトメさんにも紹介するわ。あっ、でも手を出さないでね。見てるだけよ、見てるだけ」  ハマコはすっかり恋愛モード。さすがに圭二の話をしてるときとは表情が違う。
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