余計な火種

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「さぁそれはどうかな。手を出すかどうかは。何せ走らせたら私のほうが速いもの。2連覇してますからーー」 「そりゃそうだ。今回のレースもトメさんの手のほうが速かったし。また写真判定になったしりて」  わはははと容赦ない笑い声が渦を巻いて廊下まで抜ける。ハマコの困惑した顔に、チョウコはケタケタと笑いが止まらなかった。    そろそろお開きの時間が来たようで、敬老ワンダーランドの社員が笑い声を辿って部屋に入ってきた。 「みなさん、随分と楽しそうですね。寛げました?」 「はいはい。充分楽しませてもらいましたよ」 「今日のお弁当も美味しくいただきました。有難うございます」 「ご馳走さま」  ほっこりと心も温まった83歳。全員がいい顔してると社員もホッとする。 「いえ。皆さんが完食してくださるので、こちらも元気をもらえます。  次回のレースですが、10月26日が最終戦となります。また、80代のレースとしても最後のレースとなりますので、皆さん揃って参戦できますよう呉々もお身体ご自愛くださいね。  本日はお疲れ様会ご参加、誠に有難うございました」
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