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1 新たな仲間!? 新学期早々、事件だ!
――夏休み明け初日の教室は、いつにも増してガヤガヤしてた。
顔がすっかり黒くなってる人とか、逆にむしろ白くなった人とか、お菓子を配ってくれる人とか、写真を見せてくれる人とか、とにかく色々だった。
今日は授業もなかったから、熱中症対策とかで教室に座ったまま学長の挨拶を聞いて、ホームルームも終わったら特に何もなく帰れる予定だった。
そのホームルームで、事件は起きた。
「皆さん、帰る前に大事な話があります」
担任の物部先生の言葉。
物部先生って、たまにすごくキラキラした表情になるの。このときもそうだった。「ウキウキ」って背景に書いてそうな感じ! だから私もウキウキしてた。
「今日から、仲間が一人増えます!」
ほら、私の直感大当たり!
でもこれはまだ事件じゃない。うれしいビッグニュースだけどね。事件はこの後。
「1年間留学していた仲間が、今日からこのクラスに加わります」
そう言って、物部先生はドアの向こうに目をやった。それはもう、ニッコニコの顔で。本当に、ニッコニコの……。
「あれ?」
……ニッコニコの顔が、固まる。
そして沈黙。ほんと、息をするのもためらうくらいの沈黙だったんだよ。先生ってば、表情だけじゃなくて動きまで止まっちゃって。
どのくらい経ってからだったかなぁ。先生、そーっとドアに近づいて、廊下の様子を覗き見た。そしたらまた固まっちゃって、パチパチってまばたきして、ゆっくりドアを開けた。
私の席、ドアには近くないからちゃんとは見えなかったけど――、廊下には誰もいないように見えた。
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