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 少子高齢化の進む昨今、女性の社会進出も進み、人々の結婚に対する価値観や考え方も大きく変化してきているだろう現代。  生涯未婚率ーー元々、50歳の時点で未婚の者の割合を表す言葉であったがーーその数字も、年々上昇を見せ、2020年には、女性の生涯未婚率は16.4%を記録したそうだ。つまり、女性の6人に一人は、生涯未婚だということ。  伴侶も見つけられず、独りで生きていくのは怖い。孤独死という言葉もニュースでは目立つようになり、独身女性の終活だとか墓守がどうだとかいう話を聞くのはあまりにも耳が痛い。親が先に旅立っていくだろう中、夫や子どもという他に守りたいと思える存在がいない私は、一人で生きる希望を保ちながら、この先最後まで人生というものを生きていける気がしなかった。  だから私は、美尋(みひろ)と暮らしていたのだ。美尋といれば寂しい思いをすることもなかったし、経済的な問題も2人で折半することで軽くなっていたし、うまく生活出来ていた方だと思う。これまで喧嘩の一つもしたことがなく、気心の知れる美尋となら、これからもなんだかんだ、それなりに楽しく幸せに暮らしていけると思っていた。  そう、信じて疑わなかったのに。  明かりもついていない、窓から差し込む街灯の光だけが窓から差し込む、1DKの室内。  私は失意のまま、窓の下で、ただ膝を組んで蹲っていた。キッチンの流しからは、時を刻むように水の垂れる音が響き渡り、その音が、また今の自分の惨めな状況を引き立たせるようで、耳を塞ぎたくなる。  自分の隣には、(かおる)が一人こちらを向き、座りながら佇んでいる。彼は、我が家にある日突然やって来たイケメンアンドロイドだった。彼氏のいない私たちにとって、イケメンなんて幸せの象徴以外のなにものでも無く、お互いにとって、薫は大切で、かけがえのない存在だった。  だから、思いもしなかった。そんな彼の存在が、私たちの生活を、徐々に内側から破壊していくことになるなんて。  私は、膝から顔を上げると、薫の顔を見た。そして、彼の綺麗に縁どられた瞳の中に映る、醜い私を見ていた。ただ、姉を一方的に責めることしか出来なかった、どうしようもない自分を。
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