嫁予定の姫様に会いました。

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嫁予定の姫様に会いました。

間近で見る王城は柱や壁迄豪華だった。 やたらと高い天井。 よくわからない神話だか物語だかの彫刻、白い大理石に、金の装飾。 床はピッカピカ、広間の大階段には赤い絨毯。 こういう場所に出入りする連中は、きっとウチのホテルになんか泊まれませんね…犬小屋?とか言われそう。 整然と居並ぶ家臣や貴族と思しき皆さんを見ながらそう思った。 ウチのお客にこんなに上物の服着てる人、いなかったもん、とジロジロ眺めてしまう。 失礼?いや大体向こうが大勢で俺を値踏みしてんだから俺だってやって構わないっしょ。 真ん中に敷かれた絨毯の上を歩いて進むと、前方の玉座に座っていた国王様は、ニコニコと立ち上がって俺を出迎えてくれた。 「よくおいでになられた、リク殿。」 「あ、はい。なんか、お呼びだと伺いまして。」 「神の予言の英雄殿にお会い出来て光栄だ。」 「はぁ、ありがとうございます。」 「いやいや、なかなかの美丈夫ではないか。なあ?」 「ほんと。わたくしがもう10年若ければ放っておきませんわぁ。」 隣に座る王妃様も、とても穏やかそうに微笑む優しそうな方だった。 ふーん。贅を凝らしたいい暮らししてると心穏やかになるのかな~、と思ってたら、広間の後ろがザワつき、誰か入って来たようだった。 振り向くと、ブルネットの髪の、明らかに気の強そうなとんでもない美人がヒールの音を高らかに鳴らしながら歩いて来る。まさか。まさかあのべっぴんさんが?! 使者殿の言ってた事は真実だったようだ。 「おお、来たかレナ。 リク殿、娘のレナ姫だ。 レナ、リク殿だ。」 レナ姫様とやらは横をゆっくり通過する際に、俺の上から下迄を、値踏みするように見て、ニコッと笑った。 「まあ、これならイケそうですわね。」 「これ、レナ!!」 「??」 イケそうとは?? 使者殿といい王族の方々といい、何だか奥歯に物が挟まったような話し方をするのが何気に不快だ。 こーゆーもんなの? やっぱ気が進まなくなってきたなあ…。 と、俺の浮かない表情に気づいたのか、 「リク様、よろしくお願いいたしますわね。」 にっこり。 レナ姫は大輪の薔薇が咲いたような綺麗な笑顔で笑った。 ……気が…俄然進んできたな。 こんな美人が嫁さんなら、少しくらい妙な習慣や儀礼なんかがあっても目を瞑れる気がする。 それにしてもレナ姫、まだ17とか聞いてたのにやたら大人びて妖艶だ。 俺のタイプは清楚系だけど、これだけのナイスバディ美女ならこの際そんな宗旨捨てるわ。 「よ、よろしくお願いします!!」 俺は王家に婿入りする決意を固めた。 それにしても究極の逆玉じゃ~ん、と脳内は浮かれ気味。 その頃には、日頃程々に慎重な筈の俺は、すっかり忘れていた。 美味い話には裏がある、という、世の中の常識を…。
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