始話 ラザの大皿

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始話 ラザの大皿

 私はモルデン王様の側近の大臣である。それはともかく王のお気に入りのラザの皿がある。  王家の芸術品の皿である、いつも王いや王家の食卓に並ぶ単なる器と思うなかれ、ラザは王家の皿を作った事で有名になったが彼はその前から才覚があった。  それでなければ先代の王がこぞって愛用などしなかっただろう、ラザの大皿について解説する。  まず王家の鷲の紋が黄色の装飾で描かれたもので、回りの渦巻き模様はラザの心血が注がれている。  黄色の焼き色はラザ独自の素材選びと配合で、黄色になるよう計算と経験で生み出されている。  そして皿と認識しても同じく何十枚と均一にする技量、使いやすさは使う人の行動を計算して作られた形状。  さらにラザの育ちはそんなに良い環境になかった事を、推し量れば、いや、この皿はラザにしか作れない一品。  ただの皿とあなどるなかれ。先代の王が愛用したお気に入りの一品。つまり、愛用品になったと言うことは、作品を通じてラザと繋がったと言う事だ。  考えれば考えるほど、この皿を日用品にして良いのか悩む。これは人々の目に当たらなかったら、決して王の元には来ないと言う事。  つまりいくら優れたダイヤモンドでも、人々が価値を見出さねば単なる石ころである。  とまあ熱く考えていたが、職人と言うものは作品で唯一の個性の発露いや、個性を放って居るものなのだな。  知れば知るほど凄すぎて真似が出来なくなる。いくら模倣してもうわべだけの知識、いうなればなぞっただけのもの、決してラザの深淵な技法と表現、そう、頭はラザの知識だうん十年陶器を作り続けたラザだから出来るものに、誰も追い付けないだろう。  実は考えて居たのは、うっかりで皿を割ってしまった事からだ。
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