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いまいち縁を感じない、たかが皿されど皿、おっと、老人にぶつかる。私は考え過ぎらしい、倒れた老人に。
「申し訳ありません」
私は老人に手を差し伸べて立たせると、老人は。
「いや、なに。これも何かの縁ですな、ワシは複製職人、どんな物でも生き物以外完璧に複製出来ますぞ、物の復活みたいなものじゃて」
「重ね重ね申し訳ありません、実は」
老人に経緯を話し、ラザの大皿を壊してしまった事。次の新しい皿をそれによって探すはめになった事、ラザの大皿の素晴らしさ。老人は。
「そうか、思い出の品か。思い入れが強いのじゃろう。ワシにそのラザの大皿の欠片さえあれば複製出来るぞい」
「では、このまま王室にお連れしても。ご老人」
老人は髭を蓄え、目はたくましいようだ。
「ああ、問題ない。少々の食料を下さると助かるが」
みてくれは小汚ない老人だが物は試し、ご老人を信じてみよう。そう考えた私は、老人を王室の裏に招き。一室で壊れたラザの大皿と前金の金貨1枚を持たせてやった。
「この金貨で食料などが、この王国では買えるはずです」
老人はラザの大皿の欠片を見て。
「ほう、これが壊れたラザの大皿か、修復ひとつ取っても、この道まで極めるには難儀な事じゃて」
「そう言いますと、まだ金貨が足りないのですか?」
老人はゆったり首を振り。
「いやいや、そう言う問題ではない、大事なのは思い込みなのじゃよ。今の連続体と分かってしまえば、どうとらえるかじゃて。よーく考えてみろ、ラザの大皿が戻って来たからって、今まで通りか? いや、そうだろう、ラザの大皿が割れたのはきっかけに過ぎないんじゃよ、どうとらえるか? よーく考えてみい」
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