4 祈りの祭り

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* * *  一方、他の面々は屋台を巡り歩いていた。 「あ、金魚すくいあるじゃん!俺行ってくるわ!」  理央が走り出そうとするのを、順が止める。 「林、待て。元の世界に連れて帰るつもりか?無理だろ」 「そんなことねぇし!ちゃんと連れ帰って、世話するからさ!」  それだけ言うと、屋台に駆けていく理央。 「ま、マイペース、だね?」  深也が苦笑いしながら順に声を掛けた。 「ほんとにな……海透、様子を見てきてくれないか」 「うん……僕で良ければ」  深也は促されるままに、理央の元へ向かった。 「あ~っ!取れねぇ……」  そこには、破れたポイと睨めっこする理央と、ニヤリと笑う屋台の男性がいた。 「お兄ちゃん、下手だな」 「う、うるせぇ!」 「……理央君」  深也が声を掛けると、理央はびくりと体をすくめた。 「うわっ!深也、居たのか……」 「もしよければ、僕にやらせてくれない?」 「い、いいけど……これ、難しいぞ?」  戸惑いながらポイを渡す理央。深也はそれを受け取り、金魚の動きに集中した。 「……それっ!」  勢いよく金魚を掬い上げ、入れ物に移す。ポイは……破れていない。 「お~、お兄ちゃん、なかなかやるねぇ」  深也の取った金魚を袋に入れながら、男性は豪快に笑った。 「こ、こういうの得意なんです……」  深也は金魚を受け取ると、理央に手渡した。 「はい。あげるよ」 「え、いいのか?」 「うん。僕、寮で一人暮らしだし、世話するの大変だから……」 「マジか!……ありがと。大事にする!」 「……うん」  理央の明るい笑顔につられ、深也も自然と笑顔になった。
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