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* * *
一方その頃、聖夜とシエ達は神殿の外の森の中を必死に走っていた。
「逃げるって言ったって、どこに行けば良いんだよ~!」
「理央さん、落ち着いて下さい!神殿があると言うことは、町だってあるはずです。森を抜ければ、安全な場所に辿り着けるかもしれません」
シエは冷静に理央をなだめた。しかし、次の瞬間。
「きゃあっ!」
木の根に躓き、盛大に転んでしまった。
「会長!」
理央が慌ててシエの元に駆け寄ろうとしたその時。
「『加速』!」
聖夜が猛スピードで理央の傍を駆け抜け、シエを抱き起こした。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい……少し足を捻ってしまいましたが」
「そっか……なら、俺が運びますから、しっかり捕まってて!」
「え……?」
戸惑うシエを余所に、聖夜はシエを軽々とお姫様抱っこすると、前を走る香偲達に追いつこうと駆け足で走り出した。
それを呆然と見ていた理央だったが、すぐ我に返って聖夜を追いかけた。
「お……おい!!お前!!」
理央が聖夜に大きな声で叫ぶ。
「え、俺……?」
「そうだよ!お前、まさか会長のことが好きなんじゃねぇだろうな!?」
「え?いや、そんなことは……」
「俺が会長を助けてお姫様抱っこするはずだったのに!!」
「えぇ……」
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