1 出会い

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「ちょっと理央っち~!今それどころじゃないでしょ!」  すぐ近くを走っていたアヤカが呆れた声を出した。その傍らで、柊が目を輝かせている。 「もしかして……恋の予感!?」 「ひ、柊ちゃんも、今は逃げるのに集中しなよ……」  深也が控えめに窘めた。  そんなことを言い合いながら、しばらく走っていたその時。 「っ……止まれ!」  香偲の声で全員が立ち止まった。 「……何かに見られてるわね」  花琳の言葉に、全員が辺りを見渡した。 「ね、ねぇ、ちょっと寒くない?」  柊がそう言うと、アヤカは頷いて顔を青くした。 「ま、ま、まさか……幽霊とか出てきちゃったりする……?」  アヤカがそう言ったその時。 「フフフフ……」  黒い布を身に纏った、青白い顔の人間が姿を現した。  足は……透けていて見えない。 「きゃーーー!!お化けーーー!!」  お化けが大の苦手であるアヤカが悲鳴を上げた。 「ア、アヤカ、落ち着け!」  理央がアヤカをなだめる。しかし、黒い幽霊達はあっという間に聖夜達を取り囲んでしまった。 「フフフフ……!」  幽霊達は手から青白い炎を繰り出す。 「みんな、オレの影に隠れろ!」  香偲はそう言って全員を集め、ドーム状のバリアを展開した。炎が、バリアに遮られる。 「フフフフ……!」  しかし、幽霊達の攻撃は止まない。香偲のバリアも徐々に押されつつあった。 「くっ……一体どうしたら……」  香偲達が途方に暮れた、その時。 『異世界の戦士達を導き給え』  どこからともなく少女の声が聞こえ、香偲達の体が白い光に飲み込まれた。  ……香偲達の姿が、森から消えた。
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