6人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
オラシオン……そこは死んだ生き物の魂が集まる、安らぎの国。その国で今、恐ろしい事件が発生していた。
……魂消失事件。オラシオンの住民が、相次いで行方不明になる事件だ。
オラシオンの女王ルーナは、なんとかして犯人を捕まえなければと頭を悩ませていた。
「女王様、入りますよ」
部屋の扉がノックされ、執事のサイラスが入ってきた。
サイラスは執事でありながら、ルーナの古い友人でもある。しかし、ルーナが女王になってからというもの、執事として隣にいるために親しい口調を封印してしまっていた。ルーナはそれを、密かに寂しく思っている。
「サイラス……何か用事?」
ルーナが尋ねると、サイラスは真剣な顔で頷いた。
「魂消失事件が、また起こりました。これで行方不明になった魂は98個目です」
「なんですって!?……一体、誰がこんなこと……」
「それは……我々も調査していますが、まだ分かりません」
サイラスの言葉にルーナは唇を噛む。……犯人の目星も立たず、もうすぐ被害者は100人に到達する。
(女王として、これ以上見過ごす訳にはいかないというのに……)
最初のコメントを投稿しよう!