プロローグ

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プロローグ

 オラシオン……そこは死んだ生き物の魂が集まる、安らぎの国。その国で今、恐ろしい事件が発生していた。  ……魂消失事件。オラシオンの住民が、相次いで行方不明になる事件だ。  オラシオンの女王ルーナは、なんとかして犯人を捕まえなければと頭を悩ませていた。 「女王様、入りますよ」  部屋の扉がノックされ、執事のサイラスが入ってきた。  サイラスは執事でありながら、ルーナの古い友人でもある。しかし、ルーナが女王になってからというもの、執事として隣にいるために親しい口調を封印してしまっていた。ルーナはそれを、密かに寂しく思っている。 「サイラス……何か用事?」  ルーナが尋ねると、サイラスは真剣な顔で頷いた。 「魂消失事件が、また起こりました。これで行方不明になった魂は98個目です」 「なんですって!?……一体、誰がこんなこと……」 「それは……我々も調査していますが、まだ分かりません」  サイラスの言葉にルーナは唇を噛む。……犯人の目星も立たず、もうすぐ被害者は100人に到達する。 (女王として、これ以上見過ごす訳にはいかないというのに……)
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