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「竜也、誰のこと思い浮かべた?」
「俺は……親友のこと、かな」
竜也は海を眺めながら答えた。
「……そういえば、2人と出会ったのも海だった。何か俺、海と縁があるのかな」
竜也にとって海は、命を捨てようとした場所であり、のちの親友に救われた場所でもある。辛い記憶に寄り添うように、温かな思い出が確かに存在していた。
「……なんだかんだ言って、海は結構思い出深い場所かも」
「そっか」
聖夜は竜也を見て微笑み、海に目を向けた。
「……俺はさ、俺を育ててくれたおばさん達のこと……それから、ここには居ない特部の仲間のことを考えたよ」
「育ててくれた……?」
聖夜の発言に違和感を覚えた竜也が、聖夜に聞き返した。
「うん。俺、訳あって両親が居なくてさ。母さんは病気で死んじゃって、父さんは行方不明で……」
「……なんか、ごめん」
「あ、いやいや!いいよ!育ててくれた家の人は親切だったし、特部の仲間にも囲まれてるし、俺、今幸せだよ」
「……幸せ、か」
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