4 祈りの祭り

3/11
前へ
/56ページ
次へ
「竜也はどうなんだ?ちゃんと、幸せか?」 「……どうだろ」  竜也は苦笑いした。 「……俺に普通の幸せは手に入らないよ。だって、能力者だから……呪いの子、だから」  竜也の胸がズキリと痛む。自分の言葉が、自分の心を切り刻む。 (……そう。俺は呪いの子。幸せになんて……なれない) 「そんなこと……ないと思う」 「え……?」  竜也は聖夜に目を向ける。すると、聖夜の優しい微笑みが目に入った。 「竜也にはさ、同じ能力者の仲間がいて、親友がいる。独りじゃなかったら、どんな形であれ幸せになれると思うんだ」 「独りじゃなかったら……」 「うん。もちろん、俺もいるし!だからさ、幸せになれないなんて、独りで抱え込むなよ。せっかく会えた仲間が居るんだからさ」  そう言って、ニッと笑う聖夜。その笑顔が眩しくて、竜也は少し目を逸らした。 「……なんか、聖夜らしいね」 「え、そうか?」 「うん。真っ直ぐな感じがさ。……ほんと、眩しいよ」 「そ、そっか」  竜也がちらりと見ると、聖夜は照れ笑いしていた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加