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5 悪霊ドウェイン
* * *
「ルーナ」
ランタンが輝く海辺に佇むルーナが振り返ると、そこには優しい顔をしたサイラスが立っていた。
「サイラス……名前を呼んでくれるなんて、珍しいのね?」
ルーナは笑みを零した。サイラスはルーナに歩み寄りその手を握る。
「ああ。もう必要ないからね」
「必要ない……?」
サイラスの意味深な言葉に、ルーナは首を傾げた。
「うん。女王様なんて立場、もうすぐ無くなるから」
「え……?」
「ルーナは今まで、よく頑張ったよ。もう頑張らなくていい。一緒に現世へ生まれ変わろう」
サイラスがそう言った途端、辺りが黒い霧に覆われ始めた。その中からルーナの前に姿を現したのは、黒い長髪と赤い切れ長な瞳をした青年。ルーナは、彼のことをよく知っていた。
「悪霊ドウェイン!!」
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