5 悪霊ドウェイン

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さも当然のように答えるサイラスを見て、ルーナは涙を零した。 「もう、私の知ってるサイラスじゃないのね……」 「……ルーナ、諦めちゃダメだよ」 俯くルーナに歩み寄り、その手を柊が握る。 「大事な人の手を、簡単に離しちゃダメ。その人が変わってしまったなら、道を踏み外してしまったなら、正しい道に引き戻してあげるの」 「……私にできるのかしら」 不安げなルーナに、柊は力強く微笑んだ。 「できるよ。だって、女王様を頑張ってきたルーナだもん!」 シエも歩み寄り、ルーナのもう片方の手に触れた。 「その通りです。ルーナさんならできます」 「2人とも……ありがとう」 ルーナは2人の手を離し、意を決してサイラスに向かって歩いていった。 「サイラス」 ルーナはサイラスに向かい合い 「バカッ!!!」 その頬を、思い切り叩いた。バチンと大きな音が響く。 「私は……オラシオンが好き。そこに暮らす人々が好き。その好きな場所を守るために、いつだって手を貸してくれた優しいサイラスと、ここで過ごした全ての時間が、本当に好き。なのに……」 ルーナの声が震える。 「なのに、なんでそれを全て否定するようなことをするの!?どうして禁術に手を出したの!?やめてよ……やめてよサイラス!!」 サイラスが、ハッとした表情になる。 「これ以上、私の大事なものを傷つけないで……」 「ルーナ……僕は、ルーナを傷つけていたのか……?」
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