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* * *
「……竜也、おい、竜也!」
「ん……」
「竜也、起きろ!」
「……香偲?」
「やっと起きたか……お前が最後だぞ?」
竜也は体を起こして辺りを見渡す。そこは見覚えのない神殿だった。生徒会メンバーも全員揃っており、戸惑いながら神殿内部を確認している。
「あ、竜也。起きたんだな」
壁を確認していた珠喇が、竜也の元へ歩み寄ってきた。
「珠喇……ここは?」
「分かんない。生徒会室に入ったら急に眠くなって……気が付いたらここにいた」
「オレも同じだ」
珠喇も香偲も、そう言って表情を曇らせる。
「誰も、ここがどこか分からないのか……まさか、異世界にでも飛ばされちゃったとか?」
竜也の言葉に、香偲が驚いたような声を出した。
「まじ?オレら異世界転生しちゃったの?」
「香偲、転生じゃなくて転移な。それだと俺ら死んでることになる」
「ああ、ほんとだ」
3人がそんな話をしていると、他のメンバーも続々と集まってきた。
「ほんと、どこなんだよここ~!」
理央が情けない声を出す。
「理央っち、落ち着きなよ~。ほら、もしかしたら、すっごい冒険が待ってるかもしれないでしょ~?」
アヤカがそう言うと、理央はさっきと打って変わって目を輝かせた。
「冒険!?漫画みたいな!?俺ら主人公になっちゃった感じ?激アツじゃん!!」
(……呑気だな)
竜也は呆れて溜息をついた。それを見たシエが、竜也に微笑んで口を開く。
「ここがどこだか分からない以上、慌てるよりリラックスした方がいいかもしれませんよ」
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